事例
被相続人Aさんは、X社の代表取締役でした
Aさんの法定相続人は、配偶者のBさん・長女のCさん・長男のDさんです
Aさんの財産は、合計5億円でした
Aさんの遺産分割協議はまだ成立していませんが
相続税の申告期限の1週間前の先日X社の取締役会で
Aさんの死亡退職金1億2000万円がBさんに
支給されることが決定されました。
これはX社の役員退職金規程に基づくものではありません。
このような状況で、相続税の申告に当たって
死亡退職金の扱いについて教えてください
回答
1.死亡退職金は、相続財産ではなく受給権者であるBさんの
固有の財産となるので、分割の対象とはなりません
2.死亡退職金は、役員退職金規程が無い会社であっても
Bさんの固有の財産となります
解説
1.死亡退職金については、最高裁の判例(昭和55年11月27日)で
「本件退職金規程は、もっぱら職員の収入に依拠していた
遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を
定めたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく
右規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得する」
と判示しました。
2.退職金規程が無い場合でも、最高裁の判例(昭和55年11月27日)で
権限のある法人の機関が決定した退職金・受給権者は
相続財産・相続人とは別のものとして認定しました。
X社の取締役会でBさんが受取る役員退職金の支給日が申告期限
までに決定したので、その死亡退職金はBさん固有の財産となり
相続税の課税対象財産になります
参考までに、相続税法基本通達3-25には以下のような記載があります
1.退職金規程がある場合は、規程に基づき受取ることになる者
2.退職金規程が無い場合あるいは退職金規程の適用を受けない者の場合は
退職金を現実に取得した者又は、相続人全員で協議して受取人を
決めた場合は、その決められた者
上記以外の場合は、相続人全員が受取人となり各人の受取金額は
各人均等となります。
これは、退職金が相続財産ではないことから、その受取る権利は
法定相続割合とは関係なく、均等の割合になります
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近江清秀公認会計士税理士事務所
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